髪はどのように成長するのか
お知らせ 2018年05月19日
毛周期の成長期を決める遺伝子
髪は毛根にある「毛包」という部分で作られる
毛包は10種類以上の細胞から構成されていますが、大きく分けると3つの組織に分けられます。
・ 髪の本体である「毛(毛幹)」
・ 毛母細胞が分化した「内毛根鞘(もうこんしょう)」
・ 外毛根鞘
毛根鞘って何?
抜けた髪の根元に、半透明の白っぽい塊が付いていることがあります。
これが毛根鞘です。毛根ごと抜けたと心配する方がいますが、これは髪を保護し、頭皮と
くっついけている部分です。また再生されるので抜けても心配いりません。
白い塊は皮脂のこともあります。
誰にでも皮脂はありますが、皮脂が多くなってくると髪の成長を妨げたり
炎症の原因にもなります。
髪はどこまでも伸び続けるのか
毛母細胞は、身体の中でも最も盛んに分裂している細胞です。
分裂した細胞は徐々に上に押し上げられて、角化して髪になっていきます。
しかしいつまでも分裂して、伸びるわけではなく遺伝子のプログラムにより
毛母細胞自体が死滅して分裂が止まります。
この過程が退行期であり、「アポトーシス」と呼ばれています。
このアポトーシスが始まる命令信号の一つは、線維芽細胞増殖因子(FGF5)
と考えられています。
線維芽細胞増殖因子(FGF5)
遺伝子操作で、FGF5が働かないマウスは、体毛が1.5倍も長くなりました。
これからFGF5が成長期を止めて退行期に入らせること、FGF5がないと
成長期が長くなり、毛が伸びることがわかりました。
FGF5(+) 成長期 → 退行期
FGF5(-) 成長期 →→→ 退行期
しかし、FGF5がなくてもずっと毛が伸び続けるわけではありませんでした。
FGF5の他にも成長を止める仕組みがあり、
これらが複合的に起きて毛が抜けると考えられています。
トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)
この物質も毛包を成長期から退行期に移行させることがわかっています。
しかしこのTGFβは通常、不活性型の状態で毛包に存在しています。
これが、どのようにして活性型に変わるのかが課題となっています。
毛母細胞はなくなるのか?
毛母細胞は、退行期に移行する過程で死滅していきます。
しかし、なくなりません。
毛包上部のバルジ領域(膨大部)と呼ばれる部分から毛包幹細胞が下に
降りてきて、再び毛母細胞となります。
また、この毛母細胞への細胞分裂をコントロールしているのが、
毛乳頭細胞からのインスリン様増殖因子1(IGF1)です。
毛包幹細胞と毛乳頭細胞があれば、毛母細胞はなくならない。
この2つの細胞がある限り、髪が増える可能性はあります。
逆にこの2つの細胞がなくなればいよいよハゲ、ツルツルの状態になってきます。
遺伝子情報は変えることはできないので受け入れるしかありません。
環境因子を変えていく、整えていくことはできます。
ヘアケアにおいては、この環境因子を整えていくことが大切です。
どのシャンプーを使えばいいのか?
お知らせ 2018年04月14日
まずはシャンプーの基礎から、シャンプーは主に洗浄成分である界面活性剤で分けられます。
界面活性剤は、皮脂や整髪料などの油分を洗浄するのに必要です。
油汚れや皮脂を落とす食器洗剤や洗濯洗剤にも同じように界面活性剤は含まれています。
当然、油汚れの多い食器洗剤は強い界面活性剤が使われており、水仕事が
多いと必要な手の皮脂まで落とされてしまい手が荒れてきます。
頭皮や髪も同じで、洗浄力が強すぎると頭皮にダメージを与える原因に
なるので、自分に合ったシャンプーを選ぶことが大切です。
頭皮にやさしいシャンプー?
頭皮にやさしい=洗浄力が弱いということになりますが、洗浄力が
弱いと今度は、皮脂などが落ちにくくなります。汚れは落として必要な皮脂は残す、バランスが大切です。
洗浄成分の種類
シャンプーの主な洗浄成分は、
・石鹸系
・アミノ酸系
・高級アルコール系
の3つです。他にも両性ベタイン系、タウリン系、タンパク質系
がありますが、薄毛用シャンプーは上記の3つが多いです。
また1つではなく、複数の洗浄成分を含有しているシャンプーもあります。
石鹸系
石鹸系は、アルカリ性なので洗浄力は強めです。高級アルコール系シャンプーよりはは弱めです。
頭髪は弱酸性なので、石鹸系シャンプーを使うと髪がごわついたり、きしむといった使い心地は
あまり良くありません。
ですが、石鹸系は天然成分由来なので安全性が高いのが特徴です。
ベビー用のシャンプーにも使用され敏感肌やアレルギー体質の人におすすめです。
アミノ酸系
アミノ酸系は、陰イオンの洗浄成分のため頭皮や髪に吸着しやすい成分です。
保湿成分が吸着することはよいですが、しっかりすすいで洗い流さないと
成分が残り、トラブルになることもあります。
頭皮や髪にやさしい成分ですが、その分洗浄力も弱くなります。一時期アミノ酸系シャンプーは人気でした。
高級アルコール系
高級アルコール系は、高い洗浄力と泡立ちがあり、よく汚れが落ちて洗いあがりもいいです。
洗浄成分が強いことで、頭皮や髪にダメージを与えることがあると言われることもありました。
「ラウリル硫酸Naが入っているシャンプーはよくない」と言われることもありましたが、
これは良い面も悪い面もあり、洗浄力が強いのはすべて悪というわけではありません。
高級アルコール系は、洗浄力は強いですが、実際は頭皮にダメージを与えるような
割合では入っていません。
もし、頭皮がかぶれるようなことがあったら商品として問題です。
逆に、やさしい=洗浄力が弱いということは、しっかり皮脂や整髪料が落とせない
ということにもなります。
これが、頭皮のかゆみや炎症の原因になることもあります。
単純に洗浄力が強弱が、シャンプーの良し悪しにはならないということ。
つまりどれがいいの?
この成分がいいということはなく、使ってみて
泡立ち、洗いあがり、乾かした後の髪の手触りなどで
自分に合ったものを見つけるしかない
というのが結論です。
薄毛用シャンプーにアミノ酸系のシャンプーが多いのは、洗浄力よりも
低刺激に趣を置いたシャンプーだからです。
ただお話したように、洗浄力は弱くなり汚れが落ちにくくなるということ。
洗浄力の強い高級アルコール系のラウリル硫酸Naのシャンプーは、
美容院でもたくさん使われています。
洗浄力が強いことがが悪ではありません。
しっかり洗浄できて、頭皮・髪も痛まないシャンプーというはありません。
大切なのはそのバランスです。
シャンプーはどの成分がなのか、何系なのかくらいは理解して使ったほうがよいと思います。
帯広中央クリニック【日本毛髪再生研究会認定施設】
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